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ご挨拶

ご挨拶

公益社団法人前橋積善会 代表理事 神尾 聡
令和5年6月27日開催の本会社員総会及び理事会におきまして、代表理事(理事長)に就任いたしました。
公益法人前橋積善会の更なる発展のため、努力いたす所存でございます。
栗木前理事長と同様ご指導ご鞭撻賜りますようよろしくお願いいたします。


明治13年4月、前橋向町(むかいちょう/現・平和町)の佐藤啓造氏(旧前橋藩士族)の家に遠藤海象(かいぞう/旧前橋藩士族、この当時は草履職人、後に製糸業)、木村農夫吉(旧前橋藩士族、後に前橋市収入役、助役、前橋生糸の製造・販売を牽引した交水社の理事長、衆議院議員)、河野彦郎(旧前橋藩士族)、増田嘿童(もくどう/橋林寺住職)の5氏を中心に12名の同志が集いました。聖賢の教えを紐解き、衆生救済の道を語り合う中、遠藤氏による説話にー同が大いに感じ入ったことをきっかけに、救済行動を起こすことを決意します。
まずは身近で貧困に苦しんでいる人々を救うことから始めようと、各人が50銭ずつ拠出した合計6円の浄財を12封に分け、包紙に「積善会」と記して、翌日早朝、さっそく貧困家庭に投げ入れられました。積善会による救済活動の始まりです。

このときの12人からスタートした積善会の貧困救済活動は大きな話題となり、匿名での活動だったにもかかわらず、1ヶ月2銭を納入する会員が次々に参加してきました。また前橋仏教会を中心に、各町内の有志に呼びかけを行い、当時の県令、揖取素彦にも理解を得て、賛同入会者は日々増え続けました。まもなく活動は前橋全域に及び、会員は1、000人を超えたといいます。
その後、前橋の中心部を焼失した大火で焼き出された人々を救済するための義援金として、全ての基金を取り崩したため、積善会は一時活動を中断します。しかし明治18年4月、向町の生田英碩医師が積善会事業の中止を惜しみ、同志とともに再興を図り、あらためて21名の篤志家を再興世話人として、会は復活しました。

明治21年には、県の認可のもと簡易科福田小学校を開設。貧困家庭の子女を対象に、無月謝、教材貸与で教育を行い、文盲者をなくす取り組みを開始。明治23年には下村善太郎氏(生糸商、初代前橋市長)が会長となり、施療事業を規約化し、医者を受診できない病者の救済が始まります。
下村会長逝去後、日清戦争の影響もあって事業は停滞し、明治28年には、再び事業休止のやむなきにいたりましたが、明治30年、前橋地方裁判所の福鎌芳隆検事正が、遠藤海象氏や増田嘿童氏に事業再興を勧め、福鎌氏本人も再興に向けて奔走します。当時の古荘嘉門県知事と長崎彊前橋地方裁判所長による賛同を得て、400余名が新たに入会、旧会員も含めると683名の会員とともに、施療券の発行再開や救貧救済事業が甦りました。

明治32年には免囚児童のために感化部を設置し、寄る辺のない6名の子どもたちを引取り、社会復帰のための養育に努めました。
明治35年2月7日、積善会の創立者である遠藤海象、増田嘿童、及び桜井伝三(明治18年の再興世話人の一人、医師)の3氏は、前橋市内各宗派寺院一同と立川町(現・千代田町)大蓮寺で会合を行いました。
この会合で、積善会の事業を前橋各宗協会の経営に移し、将来の病院建設その他の事業拡張の計画の実現に向けて、会合参加者全員が協力することが確認されました。
この事業計画に基づき明治45年には恩賜財団の委託により外来診療所を開設し、施療事業を開始します。大正10年には前橋市の委託で精神患者の監置室を設け、受け入れをスタートしました。昭和2年には社団法人となり、翌3年には市内宗甫分(現・南町)に新病舎を建設、県下唯一の精神病院、厩橋病院を開院しました。昭和11年には、江木町の分院の増築とともに本院を移転しています。
戦時中の前橋空襲では、厩橋診療所や医師住宅も焼失し職員1名が犠牲になってしまいましたが、戦後は復興に尽力し、昭和23年には十全病院(結核専門病院)の開院を実現しました。
以降、病棟は着々と拡大され、昭和28年には准看護学校も開校しています。

このように、積善会は多くの困難を乗り越えて現在に至っています。積善会を支え続けたのは、数多くの会員の方々にほかなりません。会員一人ひとりの慈善に対する崇高な思いと、その献身的な援助により、「慈悲善隣」の理念は百三十年の時を超えて継承されてきました。平成24年には公益社団法人の認可を得て、助葬事業を開始、平成28年には、新病棟の落成とともに、新たなる時代のスタートを切ることができました。
この積善会の歴史と伝統、実績を汚すことなく、さらなる社会福祉の向上のため、職員-丸となって力を合わせ、その任の重さを糧として、一所懸命に力を尽くしていく所存です。

2023.7.3 一部更新



公益社団法人 前橋積善会
厩橋病院

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